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三歳の春香の言語状況

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 前回、春香の言葉について書いたのは、スイスに越してきた後だった。現在三歳、もうすぐ四歳という時に日本に行く予定だということで、慌てて書いている。

 このひと、英語しゃべってるね

 まず、これはもう最後になると思うが、春香の英語について。知っている単語は、ほとんどすべてビデオで覚えたもの、という状態になってしまった。日本語のビデオなのに、なぜか英語を学ぶコーナーがあり、それで覚えるのである。英国で買ったビデオもあるのでたまに見せるが、それだと単語を拾えないらしく、歌を少し覚える程度。要するに、英国生まれという影響はもはやまったく見られず、ほかのお子さんと変わらない。
 ただ一つの特記事項は、バスや街中で、英語圏出身の親子がいて話していたりすると、「このひと、英語しゃべってるね」と言うようになったこと。ということは、聞いていて、これは何語かという区別がある程度はついているはずなのだが?? まあ、とりあえず、先をお読みいただきたい。

 さて問題の日本語だが、去年の夏に一ヶ月日本に滞在した。語彙はもちろん増えたにしても、特に大きな変化は見られなかった。特記事項をあえて挙げるなら、子供らしい悪い言葉を多く覚えてしまったこと(今ではその多くも忘れてしまっているが)。
 名詞のみならず、乱暴な表現というものまであって、なぜか「……って言ってるんだよ!」と言うのを覚えてしまい、それが癖になって、周囲に多大な迷惑をかけた。そんな強い言い方をどこで覚えたのか、いや、実家に私と父母といて、時々姉・弟家族も来たら、絶対にそこで聞いたに決まっている。平川家は(義兄と義妹以外)全員声が大きく、しかもかなり感情的なのだ。とはいえ、「……って言ってるんだよ!」を春香がそれほど頻繁に耳にしたとは思えないのだが。聞くたび非常に気に障るので、やめるよう何度も注意したが、癖になっていて、なかなか直らなかった。
「……って言ってるんだよ!」と言うのは、さんざん言った後で、相手の理解が得られないことにイラつき、やむを得ず発してしまう、そんな表現ではないだろうか。それを開口一番、「はるか、テレビみたいって、いってるんだよ!」とくるので明らかに誤用なのだが。そんな乱暴な表現のわりには、表情も口調も特に迫力はないのだが。いずれにせよ、聞くに堪えない。これには参った。

 ドレスに言葉は要らない

 スイスに戻り、十月に入って、ドイツ語学校の開講日が近づいてきた。私は春香に毎日、「もうすぐドイツ語の学校に行くんだよ。早く行きたいね。またお友達みんなと遊んでね」などと言い聞かせた。
 ところがある日、「はるか、ドイツ語のがっこう、いきたくないの」と言い出すではないか。あれほど楽しそうに通っていたのに。理由を聞いてみると、洋くんがもう来ないからと言う。洋くんとは、託児所唯一の日本人で、春香とは子供会、託児所、ひよこで一緒だった。けれども帰国が迫っていたので、コースは継続しないとお母さんが決めてしまわれたのだ。
「でも、新しいお友達がきっとできるよ。ほかにもお友達いっぱいいるでしょ」「でも・・・、はるか、洋くんがすきなの。洋くんがいないといやなの」実際のところ、洋くんは戦いごっこ好きの典型的な男の子で、春香とそれほど親しく遊べるわけでもない。一緒にじゃれ合ってかけっこをすることはあったが、ずっと一緒にくっついて遊ぶなんてことはなかったのだ。春香が洋くんに好意を寄せるのは結構だが、いないなら嫌だと言うほど、心奪われているとは思えない。私が戸惑っていると、やがて、春香はポツリと言った。「はるかね、ドイツ語しゃべれないの」
「そんな、春ちゃん! ドイツ語なんかね、毎日聞いてれば、わかるようになるの。しゃべれないからこそ、学校に行って勉強するんじゃん。しゃべれないからって行かなかったら、ますますわかんないよ」私はまるで自分に言い聞かせるかのようなことを言った。「これからずっと、スイスに住むのに! ね、春ちゃん、一緒に学校行こうよ」すると春香は顔をしかめ、こう言った。「はるか、おうちでべんきょうするから、いいの!」(何を! 家でできないから、高いお金を払って通学するのではないか!)
 まさか春香がドイツ語を理由に行きたがらなくなるなど、思ってもみなかった。託児所の初日、私を振り返ることなく、さっさとみんなのいる方へ歩いていった春香。その背中を見ながら、私は誇らしい気持ちでいたのに。言葉がわからなくても、お友達と遊べるんじゃなかったの?
 春香が行くのを嫌がるのなら、私もくじけそうになる。毎朝、行きたくないと泣く娘を引っ張って連れて行く鉄の意志が、私にはないのだ。

(この続きは、書籍にてどうぞ)

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