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1月3日 珍しく、家にいた(2)「越境買い出しとウナギの蒲焼き」



 (前回からのつづき)そうして一昨日、何とかスイスに戻ってきた。
たとえ一日、家にこもっていたとしても、夜はきっと熟睡できると確信し、もう無理はしなかった。休暇中で夫が在宅であるのをいいことに、買い物を始めとする外での用事はすべて夫に頼むことにした。私も もはや四十代後半。ゆっくり自分のペースでいこうと決めたのである。
 結局、昨日は荷ほどきと片付けに明け暮れた。たまっている洗濯物、イタリアから持ち帰った荷物(主に夫が買い込んだ食料品)等に加え、出発前の慌しさの中、荷作りしながら散らかしていったものなどをようやく片付けた。
 娘の春香は午前中、夫がドイツに連れ出してくれた。隣国のドイツへは、交通機関を利用して30分ほど。物価がスイスに比べると安いので、週末は夫がよく買い出しに行くのである(ちなみにフランス国境にも近い。ドイツほど安くはないが、おいしいものが手に入るので、使い分けている)。
 車のない我が家は、買い物となると各自重い荷物を持つことは必須であり、春香は行くのを嫌がることもある。が、本来は外出好きなので
たいていは喜んでついて行く。週末こうして半日でも一人の時間がもらえれば、その間は集中して用事に専念することができるので有り難い。
 しかし疲れのせいか、昨日は一人になってもあまりはかどらなかった。二人がドイツから帰ってくると、食料やら薬品やらわんさか買ってきて、テーブルや床の上にあちこち広げて置くので、また散らかった。私は
やる気を失って腰を下ろし、とりあえず座ったままできることをした。留守中に 来ていた新聞・広告の整理や、テーブルに 積み上げてあった
保留もののひとつひとつに真摯に向き合う等。

 昼食は、ウナギの蒲焼き。休暇前に買っておいた冷凍食品である。
こういう時に大がかりなメニューが決まっていると、せっかくの自分の時間も家族に奉仕する破目になり、なんだか損をしたような気になる。ウナギは温めてご飯に乗せるだけ、されど豪華、あとは野菜を一品汁物一品作ればよい。数少ない、貴重なメニューのひとつではないか。
 脂っこいイタリア料理が続いた後は、夫でさえ日本食が食べたいなあとリクエストしてくれる。イタリア滞在中に感じる、白いお米への憧れは、
私たち家族全員が共有している感情なのだ。ウナギもまた、充分脂っこい魚ではあるが、娘は「はるか、もし日本に住んだら、毎日ウナギ食べる!」と言うし、イタリア人の夫も「これじゃ少ない。今度は倍量を注文して」と言うし、私とてこの世でいちばん好きな食べ物はうなぎの蒲焼きだと、自信を持って言える。日本の魚介類を扱う通信販売(日本産ではないが、日本で食べられる魚介類のほとんどを揃えている)に出会って以来、おいしく食べることにはお金を惜しまない夫の許可を得て、毎月
魚を購入しているのである。
 この魚介類のみならず、海外で日本食を求めるとなると当然どこも高くつく。日本で主婦をしたことがなく、日本の物価をよく知らない私でさえ、こんなの贅沢だという思いはぬぐえない。しかし、結婚当初に比べると、夫の収入は格段に上がった。今では、スイスにおける給与水準の高さも手伝って、もうそろそろ少しぐらいの贅沢は許されてもいいのではという結論に達した。また、娘に日本文化を継承しなければならないからと、心の中で言い訳もしているのである。
 その春香は煮魚を食べると、皿に残った煮汁はいつもご飯にかけて食べる。もちろん蒲焼きのタレも、一滴でも多く欲しがる。こういう「具材の味が溶け込んだ汁で味付けしたご飯」など、日本の家庭料理の醍醐味ではないだろうか(イタリアの家庭では皿に残ったソースをパンでぬぐって食べたりするので、相通じるものはあるけれど)。
 (つづく)

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