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1月3日 珍しく、家にいた(3)「クリスタル作りと子ども会」



(前回からのつづき)午後になり、春香は「手作りクリスタルセット」に着手、それを夫が手伝うことになった。春香は色鮮やかな石、とりわけ透き通った光る石が好きで、熱心に収集している。宝箱の中には、道で拾い、友達からもらい、秋祭りの屋台で買った 石の数々が おさまって
いる。遠足に行った山では、自分でクリスタルを掘り起こして持ち帰ってきた。少しでも光るものがあれば採集してきたという石を、大きいものはプレゼントにして、残った小さいものは窓際に並べた。大小さまざまな石のかけらたちは、ごく普通の灰色をした石であり、割って取り出したままなので磨かれているわけでもない。装飾品に興味がない私は、埃がたまるという理由で「そんなところに並べておかない! 箱かどこかにしまって!」と言ってしまう。しかし凝視すればクリスタルを含んでいると主張
する春香は、苦労して採ってきたそれらの石をどうしても飾っておきたいのである。
 石に対する、そんな春香の情熱を見た夫が、科学実験の要素を含んだこの知育玩具を見つけ、クリスマスプレゼントに買い与えた。パッケージには、紫色に光り輝くアメジストが描かれている。そんな見事な宝石が、2000円ほどの玩具で出来るはずがないと大人はわかるが、
春香は両目を輝かせ、早く作りたいと毎日せがんで、ようやくその日がやって来たのである。
 しかし、説明書は夫が苦手なドイツ語。最初からすでに難航している。それでも学術用語はイタリア語や英語と似ている単語が多いとあって、指定の薬品や水を入れ、2時間ほど格闘した末、何とか仕込みを終えた。あとは結晶ができるまで待つことになり、二つの容器は本棚の空いたスペースに置かれた。

 ちょうど昨日は金曜日、すでに3時を過ぎており、夫は春香に「子ども会へ行け」と言い放った。子ども会というのは、この町とその周辺に住む日本人親子の会である。半分しか日本人でない子が多いが、そこへ行けば日本語が聞こえてくる。せいぜい幼稚園に入る頃までの子たちが、遊んでいる横で母親はおしゃべりするという気楽な集まりで、春香は小4なのにまだ参加している。というのは会場が、我が家から徒歩1分という距離にあるため。この年になれば、クラスのお友達と遊ぶことが多いのだが、遊んでくれるお友達が見つからなかったり、このように休暇中だったりすると、金曜日は子ども会に行くことになる。
 きょうだいを切望していた一人っ子の春香は、一緒に遊んでくれる子がいるなら、かなり年下の子とでも喜んで遊ぶ。学校と違って自分がリーダーになれるからということもあろうし、日本語が聞こえる環境も面白いのだろう。
 もちろん私も都合がつく限り参加している。小さい子のお母さんたちとは、学校やテストの話は出てこない。おむつが外れないとか、夜ぐずって寝ないとか、そんな話ができるので、小学生の母親にとっては大変心がなごむ場となる。すでに通り越した難関を客観的に眺める優越感もあるが、そんなことに頭を悩ませていたこともあったなあという過ぎ去った日々へのいとおしさに目を細めたくなる。まったく異なる課題に挑んでいるお母さんたちに頑張ってとエールを送り、余裕を持って話を聞いていられる。
 しかし昨日は多忙および激しい疲労感と倦怠感のため、私はとても参加できる状況になかった。(つづく)

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